新茶の話題でよく聞く「八十八夜」って一体」なに?

5月は日本茶の旬「新茶」のシーズン。

毎年ゴールデンウィーク時期には、新茶の話題がニュースで報道されます。

そのなかで「八十八夜」(はちじゅうはちや)という言葉を聞いたことがあると思います。時間の短いニュースの中では「八十八夜だから新茶を飲んだ」という簡易的な紹介をされることが多いです。

なんとなく「お茶と関連が深いキーワードなんだろうな」という印象で終わってしまった方のために、もう少し詳しく解説します。

目次

「八十八夜」って一体なに?

「八十八夜」とは、字のとおり「88日目」を指す言葉です。

まずは、文字から感じる2つの疑問を考えてみましょう。

  • いつから数えているの?
  • なぜ「夜」なの?

いつから88日をカウントするの?

カウントがはじまる起点となる日は「立春」(りっしゅん)と決まっています。

立春の日から数えて「88日目」が「八十八夜」です。

「立春の日」が「何月何日」になるかは、年によって変動します。

暦と違って「1月1日は元旦」のように「〇月〇日は八十八夜」と決まっているわけではありません。

ここ数年の立春と八十八夜の日付

立春八十八夜
2019年(平成31年・令和元年)2月4日5月2日
2020年(令和2年)2月4日(この年は閏年)5月1日
2021年(令和3年)2月3日5月1日
2022年(令和4年)2月4日5月2日
2023年(令和5年)2月4日5月2日

合わせて読みたい

豆

2021年2月3日

「立春」と「新茶」の深い関係

この記事を書いている2021年は、立春が「2月3日」で、八十八夜は「5月1日」です。
今年はホームページのトップページにて「あと何日で八十八夜」というカウントダウンを表示していました。

実は、私が毎日手動で更新していました。そのため、表示が間違っていた日もあったかもしれません。

来年以降の日にちを知りたい方には、私のような苦労は必要とせず、正しい情報を得られる方法を紹介しておきます。

それはネット検索です。

「Siri」でも「アレクサ」でも「Google」でも、問いかければ、間違いのない情報を、きっと教えてくれるでしょう。

なぜ「夜」の字が使われているのか?

明確な資料などが残っていないため真相はわからず、諸説あると言われています。

その中で、私が好きな説があるのでご紹介します。

太陰暦という「月」でカウントしていた名残が関係する説

かつて、日本では明治5年に改暦が行われるまで、月の満ち欠けを基準に数える太陰暦という暦が使われていました。

この頃の名残で「88日」ではなく「88夜」になった説があります。

この説を立証できる、現代の天文学を用いた「おもしろい計算」があります。

「立春」と「八十八夜」に月の形は同じ

月の周期は、約「29.5日」といわれています。

この周期に「3」を掛けると「29.5日×3ヶ月=88.5日」となります。

この結果から考えると「立春」のときの「月の形」を基準として、それから3回目に「同じ形の月」が出た日が「八十八夜」になるわけです。

古来から受け継がれたロマンを感じる

現代のような発展した道具による計測がなくても、自然を観察することで暦を計算していた人間の力を素晴らしいと感じます。

そして今もなお、それが消えずに受け継がれていることに「浪漫」を感じるので、個人的に好きな説です。

お店のロゴにも取り入れたことがある「月」

shop-logo

以前、自分でデザインしたお店のロゴに「月」をあしらっていました。


「静岡」をイメージして作りました。

真ん中は「富士山」、緑の線は「茶畑」、水色の線は「駿河湾」です。

八十八夜が関連してるのは、お茶だけじゃない

冒頭でもお伝えした通り、「八十八夜」は「新茶」と関連が深いキーワードです。

しかし実は、お茶だけに関係する話ではありません。

夏の準備をはじめる縁起の良い日

5月上旬は「立夏」といって、夏の始まりの節目を迎えます。

「八十八夜の別れ霜」という言葉もあり、安定した気候になってきます。

霜による農作物への被害が少なくなり、農作物の種まきをはじめるのによい時期です。

「八十八夜」は、農家さんにとっても豊作を祈願する大事な日でもあります。

八十八夜の由来がわかったところで、ここからは、さらに「お茶」との関連を深堀します。

「お茶」と「八十八夜」の関係

  • 「お茶の歌」で有名なあの曲の真相とは?
  • 縁起物として重宝されるわけは?

お茶の歌といえば「茶摘み」(ちゃつみ)

夏も近づく八十八夜~♪
野にも山にも若葉がしげる~♪


お茶の歌として有名な「茶摘」(ちゃつみ)の歌いだしです。

夏になる直前の、お茶の最盛期を描いた歌です。

和やかな曲調とは裏腹に、夏になる前に新芽をすべて摘み日本茶に仕上げるために急ぐ(急がせる)様子を描いています。

歌詞の最後を知っていますか?

みなさん最後の歌詞をご存知ですか?


「摘めよ、摘め摘め、摘まねばならぬ、摘まにゃ日本の茶にならぬ~♪」

実は農家さんは、歌を口ずさむ余裕なんてありません。

とにかく「摘む」のみ!

美味しいお茶になるには、収穫するタイミングが重要

早すぎると、味が不十分。
遅すぎると、雑味が出てくる。
この「八十八夜」の頃が、最適なバランスで収穫できる時期なのです。

「八十八夜の新茶」が縁起物として重宝される理由は?

八十八夜の新茶は、自分で飲む以外に「ギフト」でもオススメされています。

新茶は、美味しいだけでなく、栄養価も高いため、一年の健康を祈願して贈られるのです。

どちらが正しい?「その日に飲む派」と「その日に収穫されたお茶を飲む派」

縁起物にあやかりたい心理として、はっきりさせたい議論です.

しかし私も10年以上お茶屋の仕事をしていて、真相は全くわからず、毎年悩む問題です。

正直なところ、どちらが正しいかは明言はできないと思っています。

みなさんが、新茶を楽しく飲んでくださるのが一番良いと思います。

勝山茶本舗では「その日に収穫されたお茶」を「八十八夜新茶」として販売しています。

ここ数日のうちに、店頭やネットショップでの販売が始まりますので、もう少々お待ちください。

八十八夜は節目を感じる大事な日

八十八夜について解説しました。

お茶屋である私にとって「八十八夜」は、一年のはじまりを意味する大事な節目の日でもあります。

また、八十八夜のイメージを伝える時に、話のネタとして「ケーキ屋さんにとってのクリスマスぐらい大事な日」と説明しています。

「それは大変そうだね!」というイメージを持っていただけたでしょうか?

忙しいといっても、美味しいお茶ができると私もうれしいので、この時期は気合も入り張り切って仕事をしています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

静岡市葵区の瀬名地区で日本茶を専門に販売しています。

『お茶で心安らぐ素敵な時間をお過ごしいただけますように…』
そんな想いを込めて、商品の袋詰め、梱包、発送を日々行っています。

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