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過去の記事です
この記事は2020年に執筆した「2020年新茶の奔走日記シリーズ」から再編集したものです。
2020年は、暖冬といわれる年でした。
その影響で全国的に桜の開花が早かったです。
ところが静岡県では、逆の現象が起きていました。
日本各地で開花情報が発表されるなか、静岡の桜は開花が遅れたのです。
例年、静岡県では3月20日頃に開花情報が出ていますが、2020年はいつもより遅い「3月27日」が静岡の開花日となりました。
その理由は一体なんだったのでしょうか?
桜は、秋に葉を落としたあと「花の芽」を眠らせます。
「休眠」という状態になることで活動を抑えています。
「動物の冬眠」と同じように感じますが、寒い時期にじっとして、暖かくなると動き出す「冬眠」とは、少し異なります。
休眠している桜は、「寒さ」という刺激を受けて眠りから覚めます。
そして、開花に向かいます。
つまり、寒さを感じることで「今が冬だ」と認識し、「もうすぐ春が来るぞ」と動き出すそうです。
このメカニズムを「休眠打破」(きゅうみんだは)といいます。
休眠打破(きゅうみんだは)
休眠状態にある種子・冬芽・球根などが、ある特定の刺激を受けたのち、活動状態になること。
サクラの開花には、冬期に一定期間低温にさらされる必要があることが知られる。
引用元:コトバンク
気温の変化で、季節の移り変わりを感じています。
この「気温の変化」というポイントが、2020年静岡で桜の開花が遅れた理由だと思っています。
年間を通して温暖な気候の静岡県では、平野で雪が降ることは、ほとんどありません。
冬が寒いといっても、他の地域に比べれば暖かい方でしょう。
そこへ2020年の暖冬が影響し、気温が高かった。
そのため、桜が冬を認識できず、目覚めのスイッチが入らなかったのではないでしょうか?
いつ開花すればよいのか、タイミングを見失ってしまったようです。
では、このような暖冬のとき「お茶」には、どんな影響が出るのでしょうか?
新茶シーズンが近づくと、定番のお問い合わせがあります。
それは「今年の新茶は早い?遅い?」です。
お客さまが新茶の状況を気にする事情はそれぞれ。
静岡県では、御中元の代わりに「新茶を贈る」という風習もあります。
特に「八十八夜の新茶」は、健康長寿、無病息災を祈願する縁起の良いお茶で、贈り物として人気の高いお茶です。
みなさん、新茶を心待ちにしています。
お茶も植物ですので、天候状況に左右されます。
日照時間や降雨量などのデータを計測し、ある程度の予想をつけることはできます。
しかし、相手は自然ですので、人間の思う通りにならないことも。
なかなか新しい葉が出てこない年や、出てきても葉が成長するスピードがゆっくりだったり、急にグングン成長してしまうこもあります。
何が原因でそうなってしまうのか、後から原因を探ることもあります。
また、同じ静岡県内であっても畑の場所によっても成長の具合は異なりバラつきます。
その年の全体傾向を探るときは、とにかく県内各地の情報を関係者たちから集めて、総合的に判断しています。
2020年に関して言えば、収穫は「早くもなく遅くもない」というタイミング。
葉の成長スピードは、ゆったりしたペースでした。
これには、暖冬の影響があったように思います。
ここからは、私の仮説です。
お茶の木にも「休眠打破」のようなメカニズムがあるのかは不明ですが、同じ「植物」なので「気温変化による活動スイッチ」が存在する可能性もあります。
しかも、植物は気温を感知するセンサーが人間の感覚より敏感で精密で、冬と春の「温度差」を、はっきり認識できると予想します。
2020年は、暖冬により、高い気温が基準になりました。
春になって気温が上昇したものの、基準との差が少なく「春」を認識できなかったのではないでしょうか?
まるで「もう春になったかな?出てきて大丈夫だよね?」と、様子をうかがいながら動き出したような葉の成長でした。
考察はここまで。
農家さん、製茶問屋さんとの会話を基に、ひとつの考察として、ご紹介しました。
新茶シーズンは、お茶屋の繁忙期。
以前は、私もプレッシャーを感じて気が重くなることもありました。
「今年は、どんなお茶ができるのか?」
収穫の日が近づくにつれ、不安は増すばかり。
フタを開けてみなければ、わからないからです。
しかし、最近はワクワクしながら待てるようになりました。
「今年も、きっと美味しいお茶になる!」と、待っている時間も楽しんでいます。
桜が咲けば、新茶の季節は、もうすぐそこです。
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