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新茶を守る!「遅霜予報」は静岡ならではのご当地天気予報(だった…)
この記事を読むにあたり
この記事は、かつて「遅霜予報(おそじもよほう)」という静岡県で公式に発表されていた天気予報に関連した内容です。
お茶農家にとっては大事な情報であり「新茶にまつわる話題」とユニークな話題でしたが、2021年よりこの予報が廃止されてしまいました。
過去の記録として、記事を残しています。
「遅霜予報」(おそじもよほう)という天気予報があることを、知っていますか?
静岡県で毎年、春の間だけ発表されていた期間限定の天気予報です。
静岡ならではのご当地天気予報
遅霜予報」は、3月15日から5月10日まで発表されていた「明日、霜が発生しやすいか?」を判断するための気象予測です。
静岡ではこの時期になると、地元のニュース番組でも毎日報道されます。
そのため遅霜予報が流れると「そろそろ春が来る」と感じる人も多いです。
この「遅霜予報」は、全国の気象台の中でも、静岡地方気象台のみが行っていました。
(ただし民間の気象会社を除く)
まさに「静岡県民に春を知らせる天気予報」だったのです。
遅霜(おそじも)とは
晩春から初夏の時期、暖かくなってから発生する季節外れの霧(きり)のこと。
「晩霜」と表記されることもあります。
夜間の冷え込み具合や風の吹き方など、複数の気象条件が重なって発生します。
静岡に限った現象ではなく、日本全国で見られる自然現象です。
遅霜は農作物の新芽などにダメージを与えるため、農業関係者は警戒しています。
「新茶」を霜の被害からも守るため
お茶の木は、3月から5月にかけて新しい葉(新芽)が出てきます。
これが大きくなって、収穫され、加工をされて「新茶」として販売されます。
遅霜予報を参考に対策する
出てきたばかりの新しい葉は、非常にやわらかく、繊細で、外的な影響を受けやすい状態です。
霜が当たれば、すぐに枯れてしまいます。
しかし「遅霜」は自然現象なので、避けることはできません。
あらかじめ予想をして、被害が出ないように防寒対策などをするため、遅霜予報を活用しています。
農家さんが、お茶の成長を見守るための大切な情報です。
茶畑の対策として、「防霜ファン」を回したり、シートを掛けて霜が当たらない工夫をします。
防霜ファン(ぼうそう)
東名高速道路で静岡県内を走っていると「右を見ても茶畑、左を見ても茶畑」という景色に遭遇することがあります。まさに、茶畑の真ん中を突っ切るような場所です。
その茶畑の中に「背の高い扇風機のような柱」がいくつも立っているのを、見たことがあるはずです。
これが「防霜ファン」という遅霜対策のひとつです。
「明日霜が降りそうだな」という時に、ファンをまわして空気を巡回することで、霜の被害を軽減する目的で使われます。
新茶の販売に向けて、準備を本格化する合図
私は出来上がった「新茶」を店頭で販売することがメインの仕事です。
4月の中旬から6月の間が、一年間の中で最も忙しくなります。
そんな私にとって「遅霜予報」は、「新茶商戦が近づいてきた」というお知らせです。
出来立ての美味しい新茶を届けるために、本格的に販売の準備を進めていきます。
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